ある発明に対して特許権を付与するか否かの判断は、各国がそれぞれの特許法に基づいて行います。したがって、特定の国で特 許を取得するためには、その国に対して直接、特許出願を行うことが必要と なります。
また、特許はほとんどの国が先に出願した者に権利を与える先願主義を採用しており、いかに早く出願することができるか、すなわち、いかに早く特許庁に出願日を認めてもらえるかが、特許権を取得するためカギになっています。
外国への特許出願は次の2つのルートがあります。
1.パリ優先権主張による直接出願(パリル-ト)
2.PCTによる国際出願(PCTルート)
パリ優先権主張による直接出願(パリル-ト)
パリ優先権主張による直接出願は、国内で特許出願をし、これを基礎として、パリ条約による優先権を主張して、出願を希望する国に直接特許出願するものです。
パリ優先権を主張できる期間が、出願から1年間であるため、この期間内に出願を希望する国に、その国が規定する言語、様式に従って出願する必要があり、出願国が多くなる場合は、極めて困難となります。また、この手続きは、出願国に営業所等がない場合は、現地代理人によりする必要があります。
PCTによる国際出願(PCTルート)
PCTによる国際出願は、このような煩雑さ、非効率さを改善するために利用できる国際的な特許出願手続の制度です。
PCTでは国際的 に統一された出願書類を日本の特許庁に対して1通だけ 提出すれば、すべてのPCT加盟国に対して「国内出願」をしたことと同じ扱いを受けることができます。つまり、そのPCT国際出願に与えられた出願日(国際出願日)が、すべてのPCT加盟国における「国内出願」の出願日 となります
PCT国際出願は、あくまで国際的な「出願手続」であるため、その発明が、 特許を取得したい各国において権利を取得できるかどうかは、各国特許庁の実体的な審査に委ねられています。
このため、 優先日から30ヶ月までに、出願を希望する国に、その国が認める言語の翻訳文を提出して、その国の実体審査に係属させる必要があります。